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2024-08-26 22:15:00

つなぎ(小麦粉)の選択について

  手打ちそばに使用するつなぎ用の小麦粉を詳しく説明している教本は少ないようです。小麦粉は小麦の産地やグレード、原料配合等によってたくさんの銘柄があります。一般的に中力粉が推奨されていますが、そばの種類によって選択する小麦粉が違ってくることを検討したいと思います。

 

まずは御膳そばです。この蕎麦は、澱粉質の比率が高いそば粉(内層粉)を使用します。生地をつなぐことが非常に難しいため湯練りしますが、小麦粉を一部配合(全体の2割程度)することがあります。その場合、生一本と比較してどうしても色がくすみ、透明感や食感(歯切れの良さ)の面で劣ります。ですから、使用する小麦粉はできるだけ色が白く(灰分が少ない一等粉)、生地を繋げる効果の高い強力粉を選択することになります。灰分が少ないと小麦粉臭さも感じにくくなります。添付資料のつなぎ用小麦粉の品質マトリクスのAの部分になります。

 

内層粉に中層粉が加わった白いそば粉(製粉歩留まり50%程度のそば粉)を使用したそば(更科蕎麦)はどうでしょうか。粒度の細かいそば粉(細挽き)であれば小麦粉を配合せずに問題なく繋がりますが、求める食感に近づけるために小麦粉をブレンドする場合が多いかと思います。まず、そば粉の色と風味への影響を抑えるため一等粉を選択します。弾力・コシを強くしたい場合は強力粉(マトリクスのA)、粘りがあり滑らかな食感を求める場合は中力粉中力粉(マトリクスのB)を選択します。

 

 

江戸蕎麦等石臼挽き全層粉(挽ぐるみ)の細挽きを使用した品のいい八割そばは、中力粉の使用が多いようです。マトリクスのBの部分になります。そばの香りと食感、そして喉越しのバランスが優れているからだと思います。そばの風味を強くするため粗挽き粉を一部ブレンドする場合、強力粉の一等粉や準強力粉(中華麺用粉)を使用すると色への影響がなく生地の繋がりを強くさせる、といった工夫があっていいかと思います。

 

中層粉から表層粉までの黒いそば粉を使用した田舎そばの場合は、色は黒く臭いが強いため灰分の高い強力粉(準一等粉や二等粉)を使用することがあります(マトリクスのC)。一等粉よりグルテンが多いため生地の繋がりを強くできますし、小麦粉臭さは蕎麦の臭いで分かりにくくなるためです。また、コストも低く抑えることができます。強力粉か中力粉かは、麺の太さや求める麺の食感によって違ってきます。小麦粉の比率は、1割から7割まで選択の幅を広く考えることもできます。

 

使いたいそば粉や自分が理想とする蕎麦によって、小麦粉の選択や配合率を工夫することも大事なことだと思います。添付のマトリクスをご参照ください。

 

pdf つなぎ用粉の品質マトリクス.pdf (0.2MB)